2011 設計演習B/C
2011年12月15日木曜日
1X10A156 松延浩人 A++ 「無題」
僅かに傾けられた台座の不定形の穴が穿たれ、その上に乗る直方体も大きく不定形に抉られている。その開口から小さな透明状の細片が湧出し、あるいは開口の内へと侵入する。傾きは”時間”を指示し、その移ろいに記憶の断片・細片が侵入し、湧出しその様態が繰り返されていく。装置というよりもオブジェとしてシフトした作品。(入江)
1X10A157 松村美保 A++ 「きおくぱずる」
緑系、肌色、そしてグレーに塗られた平板が、矩形に切り込まれ、その中の区画をさまざまな線が切り込みとして表現される。それを作者は「パズル」として名付けたものである。私たちの場所は地図として認識されており、眼に見える世界の中で表に出ることはないが、その背後に改めての「きおくぱずる」としての仄明るいパズルを表象化して生きているのだといいたいのだろう。(入江)
1X10A145 藤森慧 A++ 「記憶の消失と、維持について」
原毛に覆いかぶさった堅いフェルトのパッチワークの隙間からのびた管の先に、縮絨されてできた丸い毛のかたまりがくっついている。同じ素材が徐々に質感を変えながら接続する様子が、自分の記憶が信号の伝達とともに徐々に形態を変化させることを示しているようにも見える。全体の形状の作り込みはやや未消化であるが、素材をうまく使い分けて組み立てていることは評価できる。(安東)
1X10A133 原周二郎 A++ 「yourself or something like you」
人の横顔のテンプレートのような作品。
タイトルの
yourself or something like you とある通り、ある一定の人の顔としてアイコン化されると同時にみる角度によってゆらぎを含んでいるため、誰にでもなりうる可能性を秘めている。テンプレートが可動であるともっと良かった。(間下)
1X10A160 三角俊喜 A++ 「足跡」
まだ固まり切っていないモルタルの上を歩いてしまい、足跡が残ってしまったままの地面を連想させる作品。そこを通ったという痕跡と過ぎた時間とを同時に表している。都市の中、森の中、古代そして未来にもおそらく存在するであろう足跡を切り取ることで人間の不変性と進化まで装置化することに成功している。
(間下)
1X10A174 山下唯 A++ 「しまっていた記憶」
引き出しをあけるとそこに鍵がおかれていただろう、影のへこみがみられる。探しものはその鍵のかかった場所にあるのだろうか。けれどもその鍵はそこには存在せず、記憶していたはずの出来事も、もはや思い出にもならないことが示唆される。丁寧な箱のつくり方が、心の中に詰まっていた「しまっていた記憶」が大切なものであったことをも思わせ、作品の完成度を高めている。(安東)
1X10A042 小田切駿 A++ 「力の記憶」
油土に押型を残した作品が並置されている。眼に見えない握力を粘土に託して、押しつぶされた粘土が力の状態を伝えてくる。日々の生活の進行のなかで、掌にたくされた痕跡を滴々として残していくことは、その人の身体とつながるかけがえのない記憶装置となるのだろう。
(入江)
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