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2011年11月5日土曜日

1X10A032 大崎名美映 「魅惑の赤」A+++
いっさいの誤解を許さない明確な赤の色彩が力強く訴えかけてくる完成度の高い作品である。脚の陰影とハイヒールの尖ったエッジや「つや」により赤の色彩のもつ官能的な鮮やかさが表現されている。(安東)
1X10A117 中島みづき 「灯」
冬の夜宴のいわゆる”赤ちょうちん”を描いたものであろう。人が入口扉に手をかけ引いた直後に、外もれする光の鋭さが、内部の温かさを伝えている。ちょうちんの赤色より、温もりの背後にある赤のもつ暖かさを表現したものだろう。表現力のある作品となっている。
(入江)

1X10A171 森田亮太 「rouge」
唇の開閉によって生じる表面のうつり込みや質感の方に表現の軸があることで、鮮明な赤ではなく、淡い赤を表現することに成功している。お歯黒的な世界観の中にない、ある意味現代的な赤なのではないか。(博多)

1X10A145 藤森慧 「あ・うん」
仁王像、金剛像、寺社仏閣の山門両側に彫刻頭部を描いている。赤く朱に染められている実際よりも、邪気を払う気 と気迫の表情の本質を「赤」と捉えたのだろう。間を黒く潰した表現もよかった。(入江)

1X10A139 廣戸亮 「Deep」
Deepと題された作品。めくりあげられてできた穴と、穴をつくっているめくりあげられ、折り重ねた部分の形状の関係が青ではない、赤を連想づける。課題が発せられた側に生み出される知覚状況への形象を投じたうまさを感ずる。滴りおちるイメージは追随できないとしてでもある。(入江)

1X10A010 石井宏樹 「Strawberry Syndrome」
6枚組の図画を順にたどると、平面から立体、さらに空間へと対象物が変化しながらも、一貫して現れるイチゴのモチーフが赤の色彩を鮮明に表している。世の中にある赤いものすべてがイチゴに支配されてゆく様子に独特のストーリー性が認められる。最後の2枚組についてはもう少し時間をかけて丁寧なタッチで完成度を高めてほしかった。(安東)

1X10A182 吉岡侑希 「白黒」
ブラインドでサイレントな視点が、赤を色という単的な視覚から解散し、深い影をもった音の像として浮かび上がらせている。赤とは最も遠いところにある、表現方法であるが、確かにそこに赤の残像がある、そう感じさせてくれた作品である。(博多)
1X10A132 林万里亜 「寒い日に」
赤ちゃんのほっぺたと唇の赤を描いた作品。やわらかなタッチでピンクに近い赤を連想させる。観念的で終わってしまっているところもあるので、詳細な観察力がほしかった所。
(間下)

1X10A102 立野顕吾 「火の記憶」
火をつける前と火が消えた後を描いた作品。タイトルの通り見る人の記憶の中の火で赤を表現している。記憶を喚起させるスイッチが少し弱い所が残念。(間下)

1X10A134 原崇之 「白黒の世界/赤」
マッチの炎の照らし出す領域を、黒鉛の濃淡で描いた作品。濃淡は同時に、温度や揺らぎとなり、鑑賞者の色彩感覚に働きかける。炎に近づき、その様相を描ききった点をかいたい。(TA坂本)

1X10A039 沖津龍太郎 「prayer」
僧侶の殉教をとらえた作品。燃え盛る火の中で微動だにしない姿に信仰の強さを感じる。静謐な信仰というよりも真っ赤に燃える信念と畏怖の念で見守る周囲がその火によって照らされている激しい赤を感じさせる作品。(間下)
1X10A179 山本浩夢 「Spread」
白黒で表現される赤の可能性を一つの画的な情報ではなく映像としてつかまえようとしているところが評価される。しみの持つ形をガーゼという素材の中で抽象的なスクリーンとして表現されている為、その中での光学的な効果を際立たせている。(博多)
1X10A115 長尾健介 「余韻」
水の中に魚が泳いでいて、その動きが絵の具の付いた筆を水中で洗ったときにできる水の動きを思い起こさせる。そのときに赤い色がイメージされ、魚が水の中に漂い水面から時折顔をのぞかせたり沈んだりする様子が、水に溶けてゆく色の余韻を残している。全体のモノトーンの中にあって、遊泳する魚の独特の動きがもたらす印象が色彩的なアクセントとなっている。(安東)
1X10A090 瀬尾憲司 「!」 
トウガラシが主題である。藁で結んで乾してあるトウガラシ。赤い色合いが眼に浮かんでくる。それをまともに食するということは普通ないが、実行した時の「キターッ」という感じがよく表現されている。「キターッ」という感覚は、不可視であるが深紅なのである。(入江)